最近読んだもの

ゴールデンカムイ全話無料公開されていたので、三回ほど通し読みした。

ヤバ人(やばんちゅ)大集合漫画かと思っていたら、尾形とウイルクに全部持って行かれた…業が、深い…

人がどんどん死ぬけどそんなに暗い気持ちにさせられないのが不思議。

杉元は無理かもしれないけど、アシリパさんだけでも幸せになってほしいな…

 

そしてゴールデンカムイに当てられた結果、図書館でアイヌとシベリアの本を借りてきた。

本当は樺太関係の本を読みたかったんだけど、良さそうなものを見つけられず。

 

金田一京助ユーカラを教えてもらったアイヌの人々について綴ったエッセイや講演をまとめた本。

アイヌの人々への感謝が溢れていて胸がいっぱいになった。

Wikipediaによればその後アイヌの方々との関係はあまり良くなかったらしいけど、金田一京助の、アイヌ語への情熱やアイヌの人たちへの感謝は本物なんだなと感じた。

この人がいなければ、アイヌ語ユーカラは残らず、ゴールデンカムイは生まれなかったかもしれない。改めて、すごい業績だと思う。

 

著者がシベリアのさまざまな地域に住む人々を訪れたインタビュー集。

シベリアといってもかなり広くて一枚岩ではなく、首都のモスクワとシベリアは物理的にも精神的にも分断されていて、同じロシアとは思えないほど人々の考え方が異なっている、ということだった。

その中で、ネネツの人々の章が気になった。

街で暮らすと騒々しくて体調が悪くなる。今まで通りトナカイを放牧して暮らしていきたい。という。日本人の私にはなかなか想像のつかない暮らしだが、それが彼らの幸せなのだ。

ネネツの女性はバレエを見て、ただ素晴らしい、と思ったという。知識がある人は筋肉のつき方とか振り付けがどうとか語るけれど、ただ素晴らしいという感情を持てないのはかえって可哀想だと思ったとのことだ。これは大変示唆に溢れているように思った。

また、トゥヴァ共和国の話も気になった。トゥヴァの人々はほとんどがチベット仏教の信者で、少数のイスラム教徒と正教会の信者がいるらしい。そして仏教徒であるトゥヴァの人々はモスクにも教会にも訪れているとのこと。

こんなに多様な宗教を受け入れているのは日本くらいだということがよく言われているが、そんなことはないのだ。

ロシアはイスラム文化圏と地理的にかなり接しているし、ムスリムであるタタール人もたくさん住んでいる。また、シベリアにはネネツを始め多種多様な人々が住んでいて、彼らはシャーマニズムを信仰している。トゥヴァ人も仏教徒でありつつシャーマニズムを実践している。ドイツにルーツがあるプロテスタントもいるし、正教会から枝分かれした古儀式派の人々もいる。

ソ連時代には強制移住もあったようだし、ロシアのやり方が良いとは言えない。むしろ怠慢の結果なのかもしれないが、キロランケが守りたいと思っていたものは、日本よりも残されているように感じた。

 

上記とは関係なくザ・ファブルも全巻一気読みした。

淡々とした日常の幸福を味わう佐藤明が可愛い。最新巻の展開には驚いたけど、このまま佐藤兄妹が幸せに生きていくといいなと思う。若頭視点になってしまう。若頭、ヤクザだけど人間性がまともだから好き。

なんでもゴールデンカムイと重ねてしまう病気なので重ねてみる。

杉元も、いつかは佐藤のように、殺しや戦いから離れて幸せになれるのかな、と考えてしまった。

ファブルにとっては日常が戦闘だったので“普通”を覚えていくことが新鮮で幸せを感じている一方、杉元にはもともと幸せな日常があったけど、家族の病気や戦争や金塊争奪戦によってそこから離れてしまったので、前提が全然異なるのだけど。